<BtoB 領域編>日々のアクセス解析をムダにしない!Webサイトリニューアル成功のコツ|ウェブ部

<BtoB 領域編>日々のアクセス解析をムダにしない!Webサイトリニューアル成功のコツ

BtoBマーケティング

Webサイト経由での見込み顧客獲得を担っているマーケティング担当や販促担当の方は、広告の予算配分やセミナーや展示会の準備など多岐にわたる業務をこなしながら、Google Analyticsなどの解析ツールを駆使することで、日々、自社サイトに訪れるユーザの動きや数を注視されていることかと思います。

下記は、一般的な解析対象項目の例です。

 <解析対象項目の例>
A)サイト全体、各コンテンツへの流入
・PV数
・UU数
・CV率
・訪問元(自然検索、KW、プロモーション、出稿メディアなど)

 B)コンテンツごとのPVの質
・直帰率
・精読率(滞在時間×読了率)
・貢献率(CVに至る導線上にあるか)

C)ユーザごとの動き
・経路

“あるバナーから訪問したユーザは、製品特長ページの精読率が高いが、貢献率の高い導入事例ページへの流入が少ない”など、A)、B)、C)の解析項目を組み合わせることで、高度なサイト分析が可能です。

皆さまもすでに、こういった分析の積み重ねから、コンバージョン(以下CV)ボタンの位置を変えたり、スライドの文言を変更したり、打つべき改修点の検討やプロモーション施策に合わせた調整を実施されていることでしょう。

現行のサイトを日々、運用していく、というフェーズでは、上記のようなアクセス解析とユーザ分析で精緻に最適化することが大切です。

ただ、サイトをリニューアルする、というフェーズでは、運用とは別の視点が必要となります。

では、B to B 領域に特有のユーザの動きにも焦点を当てつつ、アクセス解析をサイトリニューアルに活かすコツを手順に沿って説明させていただきます。

STEP1 BtoBサイトの目的を明確にする

 STEP1では、サイトリニューアルの手始めとして、達成したいCV数を基に目的を明確にする手順の例を交えながら紹介します。

 営業目標からの逆算で必要なCV数を算出します。

 現行サイトの解析で得た数字を分析・検討する前に、あらためてサイトの目的を明確にしておく必要があります。

現行サイトの解析結果は、重要な判断材料であることに間違いはありませんが、その数字が良いのか悪いのかを判断するために、まず基準が必要です。基準を明らかにするには、営業目標からの逆算がシンプルなやり方です。

 

例1)
BtoBサイトの目的

上図では、資料請求、セミナー申し込み、試用版申し込みの3つをCVポイントと置いて、それぞれ営業目標に必要なCV数を算出します。これで、サイトリニューアルが目指すべき効果が具体的になります。

CVポイントごとに目標値を設定します。

 

例2)
BtoBサイト目標値 

これで、リニューアル後のサイトは、毎月15件の成約を実現するために、資料請求、セミナー申し込み、試用版申し込みで毎月250件の見込み顧客を生み出す、という大枠の役割・目的がみえました。現行サイトの解析結果とつきあわせることで、新たなサイトが解決すべき課題が浮き上がってきます。

 

STEP2 現行のBtoBサイトから課題を抽出する

STEP2では、CVの目標値を使って現行サイトのどこに課題があるのかを探る流れの例を挙げながら説明し、どこを強化すればよいのかを明らかにします。

STEP1の例2と現行サイトの解析結果を照らし合わせることで、課題がなにかを明確にします。

例3)
BtoBサイト課題抽出

 

上図の例では、特に①資料請求数の少なさが課題です。さらに現行サイトから得られる解析結果を活用することで、課題の内訳を細かく分解していく必要があります。

そのために、課題となるポイントを絞って深掘り分析します。

課題の抽出とリニューアル時の打ち手について、サンプルケースでみていきましょう。ここでは、例3)で問題のあった「資料請求」とします。

 

例4)

資料請求数

 <アクセス解析:現状の整理>
・ボタン位置の変更でCV率が改善されたものの、成約率が下がっている分、営業目標①に届いていない。
・流入拡大のために行ったプロモーションで検索ボリュームを優先してKW設定を広めにとってもいた。
・自社名や製品名、主要機能での検索流入数は、頭打ちの状況だった。

リニューアル前の状況として、新規見込み客拡大の施策を行っていたため、それ以前よりも確度の低いユーザがサイトを訪れていたことになります。

 

<アクセス解析:ポイントを絞って深掘り>
・自社名や製品名、主要機能以外でのKWによる流入は、やはり成約率が低かった。
・特定のランディングページからのCVが多く、閲覧ページ数も少なかった。
・製品特長や導入事例など貢献率の高いページへの遷移が少なかった。
・CV率が高いわりに、直帰率も高かった。

成約につながらなかったユーザにとっては、知りたかった情報と資料の内容が一致していなかったのかもしれません。

また、探していた製品と与件にズレがあったのか、与件に合っているのか判断しづらかったのかもしれません。

そもそも、導入への検討段階が浅く、まだ製品選定まで進んでいなかったとも考えられます。

こういった新たな状況への課題解決も、運用フェーズでは対処しきれないことがほとんどです。言い方を変えれば、新たなアプローチをするために、サイトリニューアルが必要になります。

 

<具体的な対策の検討>
・資料内容の説明を追加。
・企業規模や課題別に製品説明を分けて、導線とコンテンツを用意。
・読み進める、理解を深める順番に回遊できるようコンテンツを再構成。
・コンテンツのブロックごとに関連の強いページへの導線を設置。
・ガイドブックなど、資料請求に至る前段階としてライトCVを追加設定。

ご存知の通りかと思いますが、サイトの効果を上げるためには、CV率を上げること、流入数を増やすことの大きな2軸でみることができます。
上記は、CV率を上げることに含まれる対策です。
もう一方の流入数の増加についても、例2)の逆算でみると、必要な流入数が明確化され、現状での流入数の差が増やすべき流入数となります。

もう、おわかりかと思いますが、流入数を増やすには、SEOとプロモーションの2つが寄与します。

アクセス解析という視点からは、外れてしまうので本稿では簡単に触れますが、ここで大切なことは、目標を置くことで施策自体やサイトの仕様、構成についても検討がしやすくなるということです。

例5)
SEO ⇒ 検索エンジン対策としても、全ページをスマホ最適化しよう。
SEO ⇒ ターゲットを広げて潜在層にもアプローチが必要。

コンテンツマーケティングを目的としたブログを新設するか。

(潜在層からファン化を目指すという視点という意味では、SEOではなく、マーケティング戦術ととらえるべきですが。)

プロモーション ⇒ 準顕在層に向けての広告予算配分を重めに設定しよう。
プロモーション ⇒ インフィード広告を打つのでそのLPとなるコンテンツを追加しよう。

 

STEP3 あるべきBtoBサイト上でのコミュニケーションを想定する

 

STEP3では、顧客の検討段階、意思決定までのプロセスに注目することで、「顧客とどう接点を持てばよいか?」、サイトだけに留まらない視点を持つことの必要性の例を参考にしながら紹介します。

理想の導線設計と経路分析から課題がみえてきます。

B to B の中でも例えばIT領域の製品・サービスサイトの場合であれば、企業内個人である情報システム担当者が、検討段階が進むごとにサイトを訪れ、その度ごとに必要な情報にアクセスして、ようやく「資料請求」や「セミナー申し込み」などのCVに至ります。

例6)

BtoB 1回目の訪問 2回目の訪問図5

複数回の訪問を想定することで「1回目で概要と信頼感を知ってもらい」「2回目で製品の特長を知ってもらい」「3回目で具体的な検討を進めてもらう」など理想的な認知の順番とそれに合わせたコンテンツ配置、主要な導線設計がみえてきます。

実際のアクセス解析からは、上記例6)のようにキレイに遷移していないことが多いかと思います。ただ、1回目の訪問で「どのコンテンツをみるユーザが多いのか」2回目は「どこで離脱しているのか」、確度の高いはずの3回目の訪問で2回目と同じページ間を行ったり来たりしているユーザがいる、など自社サイト上での訪問回数ごとのユーザの動きから、重視されるコンテンツの裏付けがとれ、理解を深めるためのコンテンツの追加や離脱を防ぐための導線確保など、理想的な認知の順番と導線設計と照らし合わせることで、リニューアルするサイトですべきことがわかりやすくなります。

例7)
情報収集(システム担当者) ⇒ 一次検討(システム担当部署) ⇒ 
二次検討(役員、関連部署) ⇒ 試用 ⇒ 決定

さらに、検討段階に応じて、企業内の別の職種、役職のユーザがサイトのコンテンツを必要とするという視点もサイト構成を考える上で大きなファクターとなります。
印刷ボタンの設置は、役員会議でプリントアウトをみながら検討されることなどを想定したよく知られている例です。

オンラインとオフラインの動きをつなぐことも大切です。

B to Bの製品・サービスサイトでは、購入や導入に至るプロセスも多くの段階を踏むこと、サイト上(オンライン)だけの接触に留まらず、担当営業(オフライン)へ引き継がれることも特長です。

どこから流入してサイト上でどういう動きを経たユーザが成約まで至ることが多いのか?
資料請求後にどのタイミングでメールをして誘導すべきコンテンツはどのページなのか?
など、アクセス解析とオフラインでの結果を結び付けることもせっかく獲得した見込み顧客をムダにしないために重要となります。

さらに、営業効率を上げることと費用対効果のバランスでは、見込み顧客の重みづけとアクションを自動化できるマーケティングオートメーション(MA)の導入も具体的なレベルで検討することもできます。

最後に

毎月の定期報告などで慣れ親しんだアクセス解析の数字だけでサイトリニューアルの検討をはじめてしまうと、「資料請求数が30%改善した」など、過去の自社サイトとの比較に終わってしまい、「顕在化した3つのCV数獲得では、目標を達成できない」など本当の課題解決に向けた思考がストップしがちです。

具体的に目標値を掲げることにより、CVごとのKPI設定が明確になり、課題と解決手段の検討が進みます。

さらに、不足する見込み顧客の獲得については、新たなCVポイントの設定やコンテンツ、イメージ訴求、マーケティング戦術の検討、営業効率化まで課題を広げて、その手段としてサイトの役割を見直すことが可能です。

ぜひ、アクセス解析結果を大きな視点でとらえることでより大きな成果を生む大切な資産として活用しましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

少しでも皆さまのお仕事のヒントになれば幸いです。

 

 

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