成果を上げるPDCAサイクル(1)Googleアナリティクス編

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Googleアナリティクスによるアクセス解析では、Webサイトにアクセスしたデバイスや流入元、ランディングページ(入口となったページ)や閲覧ページといったディメンションという軸に沿ってデータを抽出し、仮説と照合することで、広告やWebサイトの課題、そして課題を解決してCVR(コンバージョンレート=Webサイトにおけるゴールへの到達のしやすさを表す率)を改善するための施策案を見つけることができます。

しかし、ページビュー(ページを見た回数)、セッション(Webサイトを訪れた回数)、ユーザ(Webサイトを訪れた人数)や、直帰率(1ページだけ見てWebサイトから離脱する率)、ページ/セッション(1セッションにおける平均のページビュー)、離脱率(Webサイトから離脱する率)、平均ページ滞在時間(ページを開いている平均の時間)、平均セッション時間(Webサイトを開いている平均の時間)、CV(コンバージョン=Webサイトにおけるゴールに到達したセッション)、CVR(コンバージョンレート)などの指標を、どのディメンションで、どの条件(セグメント)で見るかを考えると、データを見る方法が多岐にわたっているため、正しい知識や適切な分析手法に基づいてツールを用いる必要があります。

企業でWebサイトの管理を担当している方の中には、Googleアナリティクスの活用法に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

Googleアナリティクスを使用してアクセス解析をする場合に、課題の発見だけで終わらせるのではなく、継続的にPDCAサイクルを回していくのが理想です。「成果を上げるPDCAサイクル」では、アクセス解析をテーマによく用いられるツールや具体的な活用事例の情報を3回にわたってお伝えします。

今回はGoogleアナリティクスを用いた課題発見の切り口、課題解決のための施策立案、そしてPDCAサイクルで注力すべき項目について紹介します。

1.PDCAを回す上でGoogleアナリティクスで最初に行うこと

Googleアナリティクスを活用すれば、CV(コンバージョン)につながる流入経路のボリュームゾーンや、ページのCV貢献状況などを確認することができ、Webサイトがどのように使われているかを把握できます。
Googleアナリティクスのレポート機能は、下記4つのセクションに分かれています。

ユーザー
デバイス比率、ユーザの想定の性別と年代(※)、新規(Webサイト訪問が1回目)orリピート(Webサイト訪問が2回目以上)比率、同業種比較(※)、個別ユーザのWebサイト内行動履歴など

集客
流入元(参照元/メディア、参照サイト、キャンペーンなどで)

行動
ランディングページ、閲覧ページ、クリックやタップなどのイベント(※)、ページ遷移の概況など

コンバージョン
CV(※)、売れた商品名と個数と売上高(※)、CVに至るまでの流入元の履歴(間接効果測定=アトリビューション)

(※):別途設定などが必要です。

このように、非常に便利なツールである一方、見るべきデータが多いため、Googleアナリティクスを活用する際に、抽出すべきデータがわからないこともあるのではないでしょうか。

アクセス解析をする上でもっとも重要なのは、データ抽出の目的を明確にすることです。
例えば、ECサイトであれば、「流入経路別の売上推移を見て、広告施策にテコ入れをするため」や、「会員登録数が伸び悩んでいる原因を特定して改善施策を打つため」などです。このような場合、流入元別のセッション、直帰率、CVRだけですべてがカバーできるとは限らず、目的によって、幾つかのデータを見る必要があります。

抽出すべきデータがわからない場合は、まず目的を明確にすることから始めましょう。

2.PDCAサイクルを回す上でGoogleアナリティクスで効果的に課題を見つけるための切り口は?

ここでは課題発見のための切り口をお伝えしていきますが、解析の前に必ずしておくべきことがあります。それは、正しくデータが計測されているかの確認です。

主に下記4点です。

  • (1)複数ドメインをまたいだ計測か
  • (2)ページごとにURLがユニークか
  • (3)広告にパラメータが振られているか
  • (4)目標(CV)あるいはECの設定がされているか

ここでは詳細の設定方法には触れませんが、確認する4点について説明します。

(1)複数ドメインをまたいだ計測か

まずは、計測対象サイトにどんなドメインがあるかを確認しましょう。例えば、企業のコーポレートサイトと、その企業が運営しているメディアサイトをまたぐといった、異なるドメイン間の計測に際しては特殊な設定が必要になります。問い合わせフォームやサイトにおけるカートのドメインが異なるかも要チェックです。また、計測対象外のドメインが計測に含まれているケースもありますのでご注意ください。

(2)ページごとにURLがユニークか

Google アナリティクスでは、URLのドメインより下の部分(URLパス+パラメータ)をページとして計測するため、ページが異なるのにURLが変わらないと区別ができず、合算計測になってしまいます。

(3)広告にパラメータが振られているか

各広告にはutm_で始まる幾つかのパラメータを付与して入稿することをおすすめします。パラメータを振らないと、リスティング広告が自然検索として計測されてしまったりします。また、メールやアプリからのリンクにもパラメータを振ることで、ノーリファラー(流入元がわからない状態)と区別しての計測が可能になります。

(4)目標(CV)あるいはECの設定がされているか

設定されていないと、効果の測定ができない、または非常に難しくなりますので、押さえておいてください。

課題発見における3つの切り口

計測できる環境が整っていることが確認できたら、解析を始めていきましょう。課題発見の際には、次の3つのディメンションから切り込んでいくことをおすすめします。

・デバイス別
・流入元別(参照元/メディアやキャンペーンなど)
・ランディングページ別

まずは、各レポートの主要な指標を追っていきます。
例えば、デバイス別で確認する場合は、

・セッション割合(SPとPCの比率がどの位か?)
・直帰率(PCに比べてSPが高いか?)
・CV割合(SPとPCの比率がどの位か?)
・CVR(PCに比べてSPが低いか?)

などの指標を注視しましょう。流入元別、ランディングページ別も同様に確認しておきましょう。

この時、デバイス別・流入元別・ランディングページ別をかけ合わせて確認すると更なる気付きが得られることがあります。また、ECサイトやCVの目標値を設定しているサイトであれば「ページの価値」、CVの目標値を設定していないサイトは「CVの貢献率(CVセグメント時のページ別訪問数/全セッションにおけるページ別訪問数)」を確認しておきましょう。

データをもとに、ユーザの行動理由を推測していくことも重要です。ここでは一例を紹介します。

流入元別(参照元/メディアやキャンペーンなど)

リスティング広告の一般キーワードからの直帰率が高いならば、
・広告文とランディングページの整合性が取れていないか?
・信用に足る客観的な評価のコンテンツが足りないか?

ディスプレイ広告のリターゲティングからのCVRが頭打ちならば、
・商品ページやその先のフォームページのユーザビリティが良くないか(カートボタンが目立たない、フォームに入力しにくいなど)?

ランディングページ別

・ランディングページの次に遷移しやすいページは何か(例えば、「○○について」)?その理由は(例えば、1stビューでボタンが目立っている)?
・次に遷移するとCVRが高いページは何か(例えば「キャンペーン」)?その理由は(例えば、期間限定で、広告も打っている)?

このように、データを見る前にも、ユーザが求めている情報とユーザに効果的な情報について仮説立てをし、データで裏付けられるか(裏付けられないならば仮説を再考するか、データには表れないが施策すべきか)を考えて行きます。

Googleアナリティクスを用いてWebサイトの課題発見をする場合、とにかくデータを色々と見ていくことに意識が向きがちです。しかし、まずは正確にデータを計測できる環境にあるかを確認し、その上で、デバイス別、流入元別、ランディングページ別のデータと仮説を組み合わせて課題に当たりをつけて行きましょう。

3.PDCAを回す上で課題発見後に行う検証とは

Webサイトの課題が発見できたら、施策対象のページについて現状のページと改善施策を施したページで、下記項目についてのA/Bテストを行うことをおすすめします。テスト項目としては、

(1) ファーストビューの調整、変更
(例)
・広告文との整合性を取り、キャッチの変更をする。
・アクションボタンをファーストビューへ入れ込む。
・余分と思われる要素を削除する。

(2) 導線の調整、強化
(例)
・遷移するとCVRが高まるページへの導線や、サイト全体でCV貢献率が高いページの要素を追加する。
・クリッカブルに見えてクリックできない要素をクリッカブルにしてみる。

(3) ページの長さの短縮化
(例)
・特に広告のランディングページで、閲覧がされていないと思われる部分を削除する。(ヒートマップがあるとわかりやすいです)

(4)ユーザビリティの向上
(例)
視認性が良くない、次アクションがわからない(申し込みフローなどで、現在地がわからない)などを修正。

(5)訴求軸の変更
(例)
・キャンペーン押しのものの商品メリットを前面に出す。
・ニーズ顕在層向けのメッセージをニーズ潜在層向けのメッセージにする。

などが挙げられます。

Google オプティマイズであればhtmlを新たに用意しなくても、管理画面上でページの用を組み替えてA/Bテストが可能です。(訴求軸の変更など、既存要素をがらっと変える場合は別々のURLに飛ばし分けることも可能です。)

※Google オプティマイズについての詳細はこちらの記事をご覧ください。

□大解剖!無料のウェブテストツールを使わないなんて損してない?1 ~Googleオプティマイズを「知る」編~

□大解剖!無料のウェブテストツールを使わないなんて損してない?2 ~Googleオプティマイズを「設定する」編~

4.PDCAサイクルで注力すべき項目は?

Googleアナリティクスを活用したアクセス解析は、課題を見つけて施策を実施、検証して知見を蓄積し、Webサイトの改善施策案を一度行って終わりではありません。売上や問い合わせ数をより向上させる方法はあるのかなどを検証し続け、PDCAサイクルを回していく必要があります。

PDCAサイクルの中でも最も時間を要するのはPlanです。ただし、Planを決定するために時間がかかってしまうと、それにともなって施策案の実施などのDoも遅れてしまいます。その結果、改善まで時間を要してしまうため、時間が限られている場合は、ある程度の仮説と裏付けデータでもって早めにDoに移行することも考慮しなくてはいけません。

最後に

Googleアナリティクスによるアクセス解析では、ユーザの行動に関するデータを抽出してWebサイトの課題やそれを改善するための施策案を見つけることができます。

課題や施策案を見つけ、PDCAを回していく際に重要なことは下記のとおりです。

 ●何を改善したいのか?目的を明確にする
 ●正しくデータを計測する
 ●仮説とデータを組み合わせて、施策案の当たりをつけていく
 ●A/Bテストを行う(※サイトのリニューアルの場合はできないこともあります)
 ●1回の施策で終わらせない
 ●時間が限られている場合は、ある程度の裏付けまでで施策に踏み切ることも考慮する

Googleアナリティクスの解析を効果的に使って、業務改善に活かしてみてはいかがでしょうか。

次回は、対象ページを具体的にどのように改善していけばよいかで悩んでいる方に向けて、ページ内のユーザの行動を可視化できるヒートマップツールについて説明します。

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