MAやDMP利用前の大前提!データ連携がわからない人がおさえるべき7つのポイント

はじめに

Webまわりのデータや自社データを連携させて、マーケティングの効率化や戦略的な意思決定を行う企業が増えています。

MA・DMPという言葉で語られることも多いですが、システムの話が絡むため何となく敬遠されてきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、詳細な技術を深く理解せずとも、ポイントをおさえておくことでより関係者との連携もスピーディに進めることができます。

ここではWebマーケッターにとって身近な例を元に「データ連携」の基本を解説したいと思います。 

データ連携に関してはこちらの記事も併せてお読みください。

データプレパレーションツールでデータ活用の前処理を改善しよう
https://webbu.jp/data-preparation-5998

データ連携の必要性

 検索連動広告をはじめ、Web広告で資料請求や購入などを成果地点としてコンバージョン(以下CV)を計測している企業は多いと思います。

あるユーザがYahoo!で検索して広告クリック後に離脱し、再度Googleで検索した後にCVした場合、Yahoo!側とGoogle側でそれぞれCV計測されます。

広告ごとに運用の改善・効率化をしていくことは大切ですが、個別最適ではなくWeb広告全体の最適化という観点ではユーザ単位でCVを追いかける必要が出てきます。

ユーザ単位でのCVを見るひとつの解決策として、Web解析ツールや広告効果測定ツール(ロックオン社のアドエビスなど)でCV計測を行う。という手法があります。

流入元となる広告が判別できるような識別子(パラメータ)をあらかじめ決めておき、広告にそのパラメータを付与することで、ユーザ単位での流入やCVを追うことが可能となります。
(注:正確にはブラウザのCookie単位となります。)

初回訪問に効果的な広告や直接CVにつながる広告などが見えてくると、予算配分や訪問別で見せるべきWebコンテンツの対応などWeb全体の最適化施策が実行可能となってきます。

 

[図1]

広告効果測定ツールを用いた複数のWeb広告のデータ連携を例として紹介しましたが、サイトアクセスデータや顧客データ・購入データなどを連携させると、検索経由でトライアル商品を購入した顧客に対してメールを配信したり、限定クーポン情報を見せるといった施策も可能になります。

これは、今までも語られてきたマーケティング手法ながら、近年、テクノロジー面での対応が進み、以前と比べて実施しやすい環境が整って来ている分野でもあります。 

データ連携の事前確認ポイント 

実際の連携の話の前に、データを連携させる大前提として、データ自体がないといけませんし、あっても活用できる状態でなければいけません。

当たり前のことですが、意外とこの確認がおろそかにされることがありますので触れておきたいと思います。

例えば、「顧客の首都圏の30代の女性にメール配信しよう」となった場合、何が必要でしょうか。地域と性別と年齢(年代)とメールアドレスですね。

地域といっても番地までの住所はもちろん、郵便番号から地域の特定が可能ですし、首都圏といった区分けなら都道府県だけでも問題ありません。

住所には複数の持ち方がありますが、目的に応じて使える持ち方に変更する必要が出てくることもあります。

 

[図2]

 

年齢(年代)についても生年月日で保持していると現在の年齢の算出が必要になります。

また、年齢(年代)を保持していたとしても、それが登録時の年齢(年代)であれば現在の年齢(年代)まで逆算する必要があるかもしれません。

といったように、活用したいデータを持っていてもそのまま活用できない場合は、設定ルールの変更やシステム対応が必要になってくる場合があります。

事前確認を疎かにしてしまうと、目的に対するアクション実行までの時間とコストが想定以上に膨れてしまいかねません。

 

事前確認のポイント

1.必要なデータは何か?

2.そのデータがあるか?

3.そのデータはそのまま使えるか?

 

データ連携のポイント

 

データ連携の具体的な方法をWeb解析データと購買履歴データの連携を元に見ていきましょう。

例として、ECサイトで広告別に1顧客あたりの売上効果を集計してみます。

 

まず、「必要なデータは何か?」を確認しましょう。

■顧客別の購入履歴

■サイトの流入元データ

 

購入履歴データはカートシステムに、サイトのアクセスデータはアクセス解析システムに、それぞれデータがあるものとします。

それぞれ別のシステムにデータがあるので、ここを紐付ける必要があります。次のようなデータが保存されているとします。

 

[図3]

 

カートシステムデータの受注IDとアクセス解析データの注文IDを紐付けることで、購入データに流入元が紐付きます。

しかし、カートシステムデータ側では受注IDに枝番がくっついていますので、枝番を外す(データ変換)必要があります。

この例は簡易にしていますが、データ変換にはツールベンダーやシステム部門への協力・依頼が必要になるかもしれません。 

データの変換後にデータを結合することで、広告別・顧客別にクロス集計すれば広告ごとの効果が見やすくなります。

[図4]

 

このようにデータを連携させるためには、必ず紐付けるためのデータが必要になります。

この紐付けるデータを「キー(key)」と言います。

「それって顧客IDがキーだからAシステムから云々・・・」などと言われてしまうと、とたんにシステムの専門的な話に聞こえてしまいますが、何のことはありません。

「どのデータを元にくっつけるのか」だけの話です。

また、2つのデータだけで連携できるケースはまだ良いですが、別途キーとなる別データとも連携させる、など3つのデータ、4つのデータになってくると若干複雑になりますので、データ元とキーはしっかりと整理しておくことが必要です。

次に、「連携させたデータはどこに保持させるか」も押さえておくポイントとなります。

計測ツール側に取り込んだり、新たに用意したシステムに取り込んだりと様々ですが、目的やコストに応じて最適なシステム検討が必要になります。

設定だけで連携できるシステムもありますし、開発が必要な場合もあります。

このような話はシステムベンダーやシステム担当との打ち合わせが必要になりますが、いままでのポイントを押さえておくことでより良い形で落とし込むことができるかと思います。

データ連携のポイント

  1. 必要なデータはどこにあるのか?
  2. データを連携させる「キー」は何か?
  3. 連携したデータの保持場所は?
  4. 連携の手法や連携先はどうするか? 

さいごに

さて、少しはデータ連携のイメージができたでしょうか。

データ連携の話を進めると思いのほか高い見積もりが出てきた、といった経験がある方は、

もう一度下記のポイントを確認いただきたいと思います。

既存のデータからの加工が必要で、そこに費用がかかってしまう。連携データの格納先が、新規のシステムとしてゼロから構築が必要だ、といったことが理解できるだけでも、今後を見据えた目的に対するコスト・期間なども含めた再検討も可能かもしれません。

昨今いわれるMAやDMPにおいては、各種バラバラなデータを1つにまとめることから始まります。

何を実現するのかも重要ですが、目的を達成するために必要なデータはどこからどう持ってきて連携させるかをシステム部門に伝えていくことがマーケティング担当者にも求められています。

システム部門に丸投げしてしまうと、システム部門側でゼロから把握していく必要が出てきますので時間とコストがかかってしまいます。

ここをクリアしていくことができるのはWebマーケッターの手腕と捉えていただければと思います。

 

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