【リスティング広告の予算の決め方】数字でロジカルに解決!|ウェブ部

【リスティング広告の予算の決め方】数字でロジカルに解決!

リスティング広告

リスティング広告にいくら投資すべきかで悩んだことはありませんか? Web広告を運用し始めるときに、みなさんが最初にぶつかる壁です。

「まずは50万円ではじめてみるか」と予算ありきで開始いただいても良いのですが、予算はもっとロジカルに決めることができます。

この記事では、業種・提供するサービスごとの予算の決め方を紹介します。

リスティング広告予算を決める上で覚えるべき、たった1つの計算式

最初に、リスティング広告の予算を算出する上で重要な公式を紹介します。リスティング広告の運用金額を決められるようになるために、ここではこの計算式を確実に暗記して下さい。

予算=目標獲得数×目標獲得単価

目標獲得数とは?

リスティング広告の予算を決める上で重要な公式を要素で分解します。

要素の1つ目は【目標獲得数】です。

これをもう少し分かりやすく言い換えると『問い合わせ件数』です。

具体的には、資料請求数や申込数、メルマガ登録数や商品購入数といったものが該当します。Webプロモーション担当者が、月に(または、1プロモーションで)何件、ユーザからの問い合わせが欲しいのか、イメージを持つ必要があります。

目標獲得単価とは?

要素の2つ目は【目標獲得単価】です。これをもう少しわかりやすく言い換えると『1問い合わせあたり、いくら掛けられるか?』その金額です。目標獲得単価は展開しているビジネスによって算出方法が異なります。

共通していることは、『利幅』を鑑みて算出する、ということです。

以下、業態別パターンにわけて解説します。

目標獲得単価を分解する

リスティング広告予算の決め方 パターン1:『ウェブ上だけで完結しない』ケース(リード獲得型)

目標獲得単価=広告費として使えるお金×遷移率

例えば、不動産(マンションや一戸建て販売)の場合、住宅購入がウェブ上で完結することはほぼないと考えています。実際のフローは、ウェブ上では資料請求や内覧会予約といったアクションで終わるはずです。

まずは、住宅購入までのフローを整理してください。その後、1戸(棟)あたり広告費として使えるお金を算出し、各アクションポイントの遷移率を元に、目標獲得単価を算出します。

目標獲得単価を算出

リスティング広告予算の決め方 パターン2:『利幅』が異なる商品が多岐に渡るケース

例えば、コスメ通販の場合、取り扱っている商品は多岐に渡ります。メイク小物で1個1,000円の化粧用スポンジもあれば、1個5,000円のファンデーションもあります。商品ごとで利幅は大きく異なります。

このようなケースでは『平均購買単価』を元に算出します。

目標獲得単価=平均購買単価×平均粗利率×目標獲得数

サイトでは1回のお買い物で複数の商品購入(例:ファンデーション+チーク+スポンジ2つ)が見込めます。

平均購買単価10,000円、平均粗利率20.0%、目標獲得数が10件だった場合、目標獲得単価は

【20,000円】=10,000円×20.0%×10

となります。

リスティング広告予算の決め方 パターン3:1回の『利幅』は低いが、何回も繰り返して購入されるケース

例えば、日常生活用品を思い浮かべてください。シャンプーや洗剤、歯磨き粉など、気に入ったものが見つかれば、同じメーカーのものを繰り返して使いますよね。

ユーザにファンになっていただければ、繰り返し購入が期待される商品・サービスではその回数も鑑みる必要があります。

これをライフタイムバリュー(略称:LTV)といいます。

ライフタイムバリュー(LTV)=価格+(価格×リピート率)

 

平均購買単価10,000円、リピート率50.0%、平均粗利率20.0%であれば、

◆LTV

【15,000円】=10,000円+(10,000円×50.0%)

◆目標獲得単価

【3,000円】=15,000円×20.0%

また、ユーザがファン化し、繰り返し購入するようになると、期間(回数)を乗算することができるようになります。

◆目標獲得単価(回数乗算後)

【15,000円】=15,000円×20.0%×5回。

この考え方をすることで、低価格商品でも目標獲得単価に余裕ができ、プロモーションの幅を広げることができます。

LTVは、各々の会社や提供しているサービスによって異なります。自社商品・サービスを分析し、「期間」(LTV総じていつまで鑑みるかや、次の購入までどれ位かかるか)などを想定・算出していただければと思います。

【応用編】計算式の組み換えでリスティング広告予算への対応力アップ!

今回の目的は『リスティング広告の予算』を算出するという事でした。公式は下図のように、構成要素がわかっていれば組み換えができます。

目標獲得数=予算/目標獲得単価

1か月に使うことができるリスティング広告の予算は決まっていて目標獲得単価を出したい場合、また目標獲得単価をクリック率やクリック単価から算出するなど、応用できます。

 事例:広告予算の決め方を見直したことで、売上が向上!

あるファッション系通販サイトの例では、CPA運用だったものをROAS運用に変更することで、リスティング広告で費用を掛けるべきキャンペーンが明確になり、最適な予算配分ができるようになりました。

それでは、CPA(COSTPer Acquisition)と、ROAS(Return On Advertising Spend)の違いはどのようなところにあるでしょうか。

以下、解説します。

CPA(獲得単価)=消化した広告費/コンバージョン

CPAは、コンバージョン1件得るために掛かった広告費を指します。

公式を見るとわかりますが、母数は「消化した広告費」です。CPAが消化したコストよりも下回って、効果につながっていると評価できます。また、「消化した広告費が増加」「コンバージョンが減少」となった場合にCPAは高騰し、「消化した広告費が減少」「コンバージョン数が増加」した場合には、CPAが改善したと捉えることができます。

ROAS(広告費用の回収率)=売上/消化した広告費×100%

ROASは、広告費用の回収率を指します。広告費1円あたりの売上額を示し、数値が大きいほど広告費を回収できたという考え方となります。例えば、ROAS100%だった場合、広告費と売上は±0。ここでは費用として鑑みていない原価や人件費を加味した場合マイナスとなります。もし、ROAS1,000%だった場合は広告費に対して10倍の利益を得たという考えになります。

まとめると、ウェブ上のアクションが、資料請求や問い合わせ数、メルマガ登録などはCPAで考え、Eコマースなど売上がある場合は、ROASで考えると良いかと思います。

改めてCPA運用・ROAS運用の実例を紹介します。

<CPA運用の条件>

・目標CPA3,000円(購入率、購入単価から逆算)。ブランドごとで判断。

・目標CPA以内であれば広告掲載を継続。また予算は青天井。CPA運用例

目標CPA3,000円を超過しているブランドがCDE。運用ルールに則って広告掲載を停止抑制する必要があります。

売上として約920,000円、サイト流入数で約4,800クリックが減少することとなりました。

<ROAS運用に切り替え>

・目標ROAS 800%。ブランドごとで判断する場合にはROAS 300%。

・目標ROAS以内であれば広告掲載を継続。また予算は青天井。

ROAS運用例

指標をROASに切り替えた場合、目標を超過するブランドがDのみになります。

売上として約230,000円、サイト流入数で約1,900クリックが減少する事となりました。

ROASで判断するので、CPA運用時には目標値まで余裕があると言えなかったブランドABについては、高ROASのためリスティング広告の投下予算を思いきって増やすことが可能です。

増やした結果、サイト全体の売上に貢献することができた、という例もあります。

まとめ

『リスティング広告の予算』の決め方は、ご理解いただけたでしょうか?

目標獲得単価は、ビジネスに合わせて算出できるので、大きなズレは生じずらいと考えています。

ただ、目標獲得数は、担当者や会社の希望という要素も入ると、リスティング広告だけでは実現できない可能性も考えられます。

予算は計算式に則って算出し、そのうえでGoogle広告の管理画面→運用ツール内にある「キーワードプランナー」や「ディスプレイキャンペーンプランナー」でシミュレーションを作成するなど、マーケットを正しく把握した上で、プロモーションに応じた、適正な予算配分を行うとよいでしょう。

関連記事