【hagakure】コンバージョン数が1.85倍?アカウントストラクチャー実績と手順を紹介!

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皆さん、hagakureはご存知でしょうか?Googleが推奨しているアカウントストラクチャーを指します。

そういった名前のツールや仕組みがあるという訳でなく、プロジェクトネームです。

日本や韓国(オーストラリアを除く)といったアジア各国は欧米諸国に比べ、クリック率が低すぎではないかという指摘がGoogle社内であがったのがプロジェクトの発端です。それはなぜか?というのを研究した結果、「広告配信プラットフォームを正しく理解し活用できていない」「日本人ゆえの気配りやこまかさが運用に深く反映しすぎている」ことが判明しました。

そこで、改めて認知促進を行いつつ、アカウントを本来あるべき姿にしていこうというプロジェクトがhagakureです。hagakure Gorin、Gorinといったりもします。

「hagakureは本当に効果につながるのか?」
「hagakure理論はわかった。具体的に何をしたらよいのか?」

といった声を、クライアント、または、リスティング広告の運用に従事している方から相談をいただきます。
この記事では、実際の効果やアカウントストラクチャーの進め方、また、アカウントストラクチャー完了後に行うべきことを改めて紹介します。

コンバージョン数が+185.3%、コンバージョン単価が-50.0%。hagakure(アカウントストラクチャー)の実績

まずは、表1をご覧ください。弊社でhagakure(アカウントストラクチャー)を行った業界・業種別の実績です。

<表1>hagakure(アカウントストラクチャー)を行った業界・業種別の実績

結論からいうと、hagakure(アカウントストラクチャー)を行ったことでコンバージョン数の増加、もしくは、コンバージョン単価の改善に成功しました。

皆さんは目標を決めた上で、ウェブプロモーションを行っていくと思います。例えば、コンバージョン(資料請求、会員登録、商品購入数)を1ヵ月に100件欲しい、1件あたりのコンバージョン単価を10,000円から8,000円にしたい、といったことです。また、プロモーション期間が長くなればなるほど、ユーザに対するリーチ量も増えてきてコンバージョン数が増加しないといった飽和状態になることもしばしばあります。

今回hagakure(アカウントストラクチャー)を行ったことで、運用開始から3~5年経過しているアカウントでもコンバージョン数の増加やコンバージョン単価の改善につながりました。表1の実例にもあるとおり、不動産やBtoB ITといった1クリックあたりの単価が高騰しがちな業界、また、Eコマースや旅行といった管理するキーワード数が多い業界はhagakure(アカウントストラクチャー)を採用することで効果をより享受できます。

広告配信プラットフォームの仕組みを理解しよう!

hagakure(アカウントストラクチャー)がコンバージョン数やコンバージョン単価によい影響を与えることはおわかりいただけたかと思います。では、なぜこのような変化が起こるのか、仕組みから解説していきます。

Google広告やYahoo!プロモーション広告といったリスティング広告は「キーワードの品質スコア(以下 品質)」というものが重要な指標の1つです。「品質」は1から10までの10段階となっていて10に近いほど良いとされています。(管理画面上で確認できるのは10段階ですが、我々が視えないGoogle広告のシステム上では小数点以下が存在します。)

品質はユーザの支持率、いわゆるクリック率(広告が表示されてクリックされる確率)が品質を決める判断基準の1つとなっていて、クリック率を今よりも良くしていくことが「品質」を改善することにつながり、広告運用を行っていく上でポイントとなります。詳しくはこちらの記事を参照ください。

品質スコアが大幅改善!最初に行うべき『たった3つの対策』とは?

クリック率、品質が重要な指標の1つであるとご理解いただけたと思います。

では、表2をご覧ください。

<表2>広告配信プラットフォームの仕組み例1

クリック率はすべて10.0%です。クリック率が一緒なのでA、B、C同じように広告の「品質」が評価されるのか?というと違います。「品質」の良し悪しの判断をするために十分なデータ『量』なのか?ということがポイントになります。ここでいう『量』とは広告表示回数を指します。

では、テストです。ABCにクリック数を1ずつ増やします。クリック率がどう変わるかご確認ください。

<表3>広告配信プラットフォームの仕組み例2

クリック数を1増やしたら、Cはクリック率が11.0%と1.0%増えてしまい、Bは10.1%とほぼ変わらず、Aは10.0%とクリック数を1増やす前と同じ結果となりました。クリック率の計算式は「クリック数÷広告表示回数」です。つまり、広告表示回数の母数が多いほど、クリック率がぶれないという事になります。

話を戻すと、表2ではA、B、Cはクリック率が同じ。よって、広告の「品質」の評価は同じかというと違い、「量」が多ければ多いほど判断材料が増え、より正しく「品質」が評価されるということになります。

改めてですが、広告配信プラットフォームの仕組みは、判断できる『量」がスタート地点となります。

<表4>判断できる『量」がスタート地点

 

『量』(広告表示回数)が多いに越したことはないのは理解できた、それでは、必要最低母数はいくつなのかという質問をいただくことがあります。

統計学上の目安になりますが、1広告グループあたり1週間で2,000回の広告表示回数(1ヵ月で8,000回)があれば判断に足りうる量だといわれています。この『量』の確保をするために、簡単にいうとなるべく「まとめましょう」、別の言い方をすると、「不必要な細分化は避けましょう」という話がhagakure(アカウントストラクチャー)の考え方です。

リフォーム型?リビルド型?hagakure(アカウントストラクチャー)の具体的な進め方

ここからはhagakure(アカウントストラクチャー)の具体的な進め方のお話をします。進めるにあたり、判断に足りうる『量』(広告表示回数)が重要となります。

<表5>hagakure(アカウントストラクチャー)アカウント設定

Google広告やYahoo!プロモーション広告といったリスティング広告が日本に上陸して以来、日々広告の運用に携わっている我々は、効果につなげるための研究をしてきました。具体的には、リスティング広告のアカウントの仕組みを踏まえたうえで、PCとMobileでキャンペーンを分ける、効果を意識した予算配分を行う、また、検索キーワードに合わせる形で広告クリエイティブを変えるため1キーワード1広告グループにする、ディスプレイ広告においてはリーセンシーごとに広告グループを分ける、などです。

ところが、良かれと思って実施していたことが裏目に出てしまい、『量』を大事とする広告配信プラットフォームを正しく理解できていませんでした。

前談が長くなりましたが、表1の実績に繋げるために我々が実施したことを紹介します。(現在リスティング広告を運用しているという前提でお話を続けさせていただきます。)

<表6>hagakure(アカウントストラクチャー)対応前hagakure(アカウントストラクチャー)対応前

長年の運用経験を元にストラクチャーしたアカウントです。PC、Mobileといったデバイスごとで目標、予算管理が行えるようにキャンペーンを分け、また、文字配列が同じキーワードを複数登録し、マッチタイプごとに広告グループを分けていました。

<表6>が『量』を確保するという点で何がダメなのかというと、ユーザAさんが「メディックス旅行社」と検索したとします。その場合、広告表示対象となるのが3つ存在することになります。

  • キャンペーン:指名-広告グループ:社名(完全一致)-キーワード:[メディックス旅行社]
  • キャンペーン:指名-広告グループ:社名(フレーズ一致)-キーワード:”メディックス旅行社”
  • キャンペーン:指名-広告グループ:社名(部分一致)-キーワード:+メディックス旅行社

仮に「メディックス旅行社」というキーワードの広告表示回数が1ヵ月に10,000回だった場合、広告表示回数は3分割され、1広告グループあたり3,333回となります。前談の1広告グループにおける判断に足りうる十分な量を確保できているとは言えません。※実際の広告表示は設定状況に応じて、広告ランクが高いものが表示されます。均等表示ではありません。

また、ユーザAさんが電車移動中で「メディックス旅行社」と検索、帰宅し自宅PCで「メディックス旅行社」と検索したとします。この場合、キャンペーンをデバイスで分けていた場合、広告表示対象の広告グループは、さらに3つ増えます。つまり、「メディックス旅行社」という1キーワードに対して最大6つの広告グループに分散してしまうことになります。

<表7>hagakure(アカウントストラクチャー)対応後hagakure(アカウントストラクチャー)対応後

hagakure(アカウントストラクチャー)を行う際に2つの考え方があります。

  • リフォーム型:基本ルールに則って、今あるものを統合する。手間は掛からないが近い将来リビルドする必要がある。
  • リビルド型:1からアカウントを作りなおす。設計をし直すことになるので時間が掛かってしまう。

<表1>の実績はリフォーム型で行ったものが多いです。

リフォーム型、リビルド型共通になりますが、基本ルールを改めて紹介すると、「ウェブサイトのディレクトリ構造に従い、キーワード・広告を作成し、広告グループにまとめる」です。広告とランディングページが同じであれば、同じ広告グループに統合します。

具体的には、キャンペーン・広告グループが、

  1. デバイス(PCとMobile)で分かれている場合、統合する。
  2. マッチタイプ(完全一致、フレーズ一致、部分一致)で分かれている場合、統合する。
  3. 検索向けリマーケティング広告(RLSA)で分かれている場合、統合する。
  4. リーセンシーで分かれている場合、統合する。

上記1から4を実行することで『量』を確保し、ユーザの検索に対しスムーズに広告が表示される状態を用意しました。

結果、<表1>の実績を出すことができたのです。

hagakure(アカウントストラクチャー)は、まとめたら終わり?

hagakure(アカウントストラクチャー)は、まとめたら終わりではありません。

ここまでは、広告配信プラットフォームの仕組みを理解した上で、キーワードといったユーザが求めている情報に対してスムーズに広告表示できる『基礎工事』が完了したにすぎません。

例えば、ショッピングセンターを思い浮かべてください。色々なジャンルのお店を用意しただけでなく、駅や幹線道路の近くの立地で動線を確保し、どの年代の方にも楽しみつつ長く滞在してもらえるようにリラックスできる空間を用意したりします。またお店ごとにアピールポイントも異なります。

リスティング広告においてもhagakure(アカウントストラクチャー)で『基礎工事』が完了したら、活用すべき機能をフル活用し万全の態勢を整える必要があります。

改めてですが進め方の全体像をお見せします。

<表8>hagakure(アカウントストラクチャー)フロー

ここまでは<表8>の①アカウントストラクチャー中心でお話をしてきましたが、①から④をしっかりと対応し、その結果を踏まえ運用の醍醐味である④広告⑤入札を公平な分析の元、適切な判断をし、繰り返し行っていく必要があります。

今回は①アカウントストラクチャーにフォーカスしたお話でした。②以降は別の機会で紹介します。

最後に

hagakure(アカウントストラクチャー)はリスティング広告において非常に有用な策です。

実際に、入社1年未満の若手が理論を理解し時間を使って対応した結果、3年以上の経験を持つ先輩が運用していたアカウントでもしっかり効果を改善することができました。

しかし、重要なのは「運用は続いていく」ということです。hagakure(アカウントストラクチャー)はゴールではなく、広告配信プラットフォームを理解し「リスタート」の機会を得ただけととらえ、ぜひ、今回の記事を参考に、今後の広告運用に活かしていただければと思います

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