皆さんはGoogleアナリティクスを利用する中で、「ページビュー」や「セッション」などの指標の定義を、正しく理解していますか。
実は、ウェブマーケティングに携わって3年以上の方から「セッションとは何ですか?」など基本指標についての定義について質問をいただくことも少なくありません。
そこでこの記事では、Googleアナリティクスの役割や用語、基本指標7つを図解してお伝えしようと思います。
なお、Google公式ヘルプサイトにおいて、Googleアナリティクスの現行バージョンである「ユニバーサルアナリティクス(UA)」のサポート終了が正式にアナウンスされました。2023年7月1日をもってUAにおけるデータ取得が停止します。
それに伴い、できるだけ早く最新のGoogleアナリティクスである「Google アナリティクス 4(GA4)」への切り替えるよう強く推奨しています。
GA4についてはこちらの記事をご覧ください。
【GA4】Google アナリティクス 4は使いづらい?導入のメリットは?プロが教えるホントの実力
【2022年7月最新】GA4とUAの違いをまとめた比較表で徹底解説!
目次
Google アナリティクスはデータを貯める「箱」です。
Google アナリティクスは、ウェブサイトに来た人の数や、ページを表示した回数を計測するオンラインツールです。
基本的な計測方法は、専用の計測タグを各ページに設置し、そのページがブラウザで表示されたタイミングで計測サーバ(Googleのサーバ)へデータを送り、蓄積していきます。
一度蓄積されたデータは後から加工・削除をすることはできません。
サイトに来た人の行動履歴としてデータが残ります。
ページを表示した回数や、どのページが表示されたのか、どのような経路でサイトに来たのかなど、様々な切り口でデータが閲覧できるよう、種類ごとにデータが蓄積されます。
つまり、Google アナリティクスはデータを蓄積するための専用の「箱」であるということになります。
設定によっては、特定のリンクがクリックされた回数やなど、一歩踏み込んだサイト内行動履歴を計測することもできます。
※Googleアナリティクスに関連する過去記事はこちらを参照。
- 誰でもできる!ユニバーサルアナリティクスのコンバージョン設定の全手順
- Googleアナリティクスの新バージョン(ユニバーサルアナリティクス)タグへの移行攻略
- 基本を押さえる!ユニバーサルアナリティクス移行攻略(概要編)
- 成果につながるサイト分析方法~Googleアナリティクスの使い方~
Google アナリティクスのデータを見る前に:「ディメンション」と「指標」ってなぁに?
Googleアナリティクスで計測された「箱に貯まったデータ」を見るためには、「ディメンション」と「指標」という大枠のデータの構成要素を理解する必要があります。
「ディメンション」はデータを見る上での軸となる部分です。
「指標」は、データの数字にあたる部分で、メトリクスとも呼ばれます。
例えば、サイト全体でページが「表示された回数」やサイトに来た「人数」、特定の行動を「実施した回数」などがこれにあたります。
ECサイトの場合には、「購入金額」や「購入個数」、「購入回数」などが「指標」となります。
この「ディメンション」と「指標」の組み合わせによって、データの見え方が異なります。
次の章では、Google アナリティクスの「指標」について基本的なものを理解しましょう。
Google アナリティクスの「基本指標」を正しく理解しよう。
Google アナリティクスの画面で[ユーザー>サマリー]を見ると、いくつかの数値が並んでいます。
下記にあげた7つの指標がよく利用されている基本指標です。
この指標が計測される条件、皆さんはきちんと理解されていますか?
(1) ページビュー(PV)
(2) セッション・訪問(Session)
(3) ユーザー(User)
(4) 直帰数・直帰率(Bounce・Bounce Rate)
(5) ページ/セッション
(6) 平均セッション時間
(7) 目標
それでは、ひとつひとつ指標の意味を見ていきます。
(1)ページビュー(PV)
ページが見られた回数です。「見られた」とは「表示された」の意味です。
ページが表示されたタイミングで1カウントとされますので、リロードなどでページがもう一度表示された場合は2ページビューとなります。
(2)セッション・訪問(Session)
サイトに来た回数です。「1セッション」とは、サイトに来てからサイトを離れるまでの滞在全体を指します。
サイトを離れるとは、ブラウザやタブを閉じることが一般的ですが、最後にサイトを表示してから何もせずに30分が経過した場合は、サイトから離れたものとみなされ、セッションが終了します。
また、サイトに訪れてから30分が経過しないうちでも、ブラウザを閉じたり、新しい流入経路からサイトに訪れたりした場合には、そのセッションは終了し離脱として扱われます。
「新しい流入経路」とは、例えば、最初はリスティングなどの有料検索からサイトに訪れ、セッションが切れないうちに同一ブラウザの同一タブまたは別タブで自然検索から流入した場合、後者は新しい流入経路となり、新しいセッションが開始されます。
(3) ユーザー(User)
サイトに来たユーザーの数です。ただしここでいう「ユーザー」の数え方には1点注意が必要です。
Googleアナリティクスは、同じ「ユーザー」か、そうではないかを、ブラウザのCookieを利用して判別します。
そのため、同じ「利用者」であっても、異なるデバイスやブラウザでアクセスした場合には、別の「ユーザー」としてカウントします。
また、家族で同じパソコンを利用しているような場合には、アクセスしている実際の「利用者」が異なっても、ブラウザ単位では同じ「ユーザー」として認識します。
「ユーザー」は、「実際のサイト利用者が、同一人物であるかどうか」は考慮せず、あくまでブラウザ単位で判別している点に注意してください。
(4) 直帰数・直帰率(Bounce・Bounce Rate)
直帰数は、サイトに来て、1ページだけ見てサイトから離脱してしまったセッション数のことです。
「離脱」とは、サイトから離れることを指します。この「サイト」という概念も、サイト計測においては同じ計測の箱で計測しているかどうか、が肝になってきます。
上図のように、ページ①~④までが同じドメイン「sample.com」配下にある場合でも、①~③には「タグA」が、④には「タグB」が入っている場合、別の箱にデータが蓄積され、別サイトとして計測されます。
もし、ページ①の次にページ④を表示した場合、GoogleアナリティクスAの箱では、「ページ①を表示して直帰した」という計測がされることになります。
やや込み入った話になりますが、Googleアナリティクスは基本的にドメイン単位での計測をします。
複数のドメインを1つのGoogle アナリティクスの箱で計測したい場合には、「クロスドメイントラッキング」と呼ばれる特殊な設定をする必要があります。
「クロスドメイントラッキング」の設定をしない場合は、上図のようにドメインが異なるページに同じGoogleアナリティクスのタグが設定されていても、ページのドメインが変わったタイミングでセッションが途切れ、「直帰」や「離脱」という計測となることに注意が必要です。
全体セッションを母数とし、直帰したセッション数を分子として割返した値を、直帰率と呼びます。
(5) ページ/セッション
1セッション中に、何ページ閲覧されたのかを知るための指標です。
分母をセッション、分子をページビューにして割返した値が、「ページ/セッション」指標が示す値となります。
(6) 平均セッション時間
1セッション中、どのくらいの時間滞在したのかを知るための指標です。1セッション中に滞在した時間を分母に、セッションを分子にして割り返した値です。
具体的には、ページを表示してから次のページが表示された時間までの差分を集計したものがセッション時間で、その全体数を押し並べたものがこの平均セッション時間です。
そのため、「直帰したセッションについてランディングページの滞在時間」というようなデータは、基本設定では見ることができませんので分析時には注意しましょう。
例として、1セッション中に3ページを閲覧した場合を例に挙げてみましょう。
10時ちょうどにページ①を表示し、50秒後にページ②を表示、さらに、その40秒後にページ③を表示した場合、サイトに流入してから離脱ページを表示した時間までの差分がセッション中に滞在した「セッション時間」としてカウントされます。
平均セッション時間は、上記のセッション時間の総和を全体セッション数で割り返したものです。
今回の例ですと1セッションのみとなりますので90秒÷1で、平均セッション時間の結果は90秒となります。
平均セッション時間をみる上で注意すべき点は、そのページと、次に表示したページの時間の差分を、そのページの閲覧時間と計算するロジックの仕様により、直帰や離脱のページ(この場合ではページ③)の滞在時間は計算されないということです。
この部分はやや解釈が紛らわしい部分ですので、間違えないようにきちんと理解しましょう。
(7) 目標
サイトを公開しているということは、見てほしい、製品を知ってほしい、問い合わせをしてほしいなど、何かしらの目的があると思います。
Googleアナリティクスの「目標」とは、皆さんのサイトでユーザにしてほしいと決めたアクションが達成された回数のことです。
資料請求や問い合わせなど、ユーザとのコネクション構築のためのアクションや、ECサイトであれば購入アクション、メディアサイトであれば記事を何ページ閲覧したことがアクションになります。
このように、サイトによってサイトの目的は異なりますので、こちらの指標だけは、到達してほしいページや行動の条件を、Googleアナリティクスの管理画面にあらかじめ設定することでデータを蓄積することができるようになります。
ここで、ページビュー、セッション、ユーザ、直帰について事例を交えて整理してみましょう。
【事例1】太郎さんが一度の訪問で5ページ閲覧した場合。
上図のように、太郎さんが自宅のパソコンでサイトにアクセスし、ページ①→②→③→①→②の順番で見てサイトを離れたとします。
この場合、見られたページそれ自体の数は、①②③の3ページですが、①②をそれぞれ2回ずつ表示しているため、ページビュー数は5とカウントされます。
セッションとはサイトに訪れてからサイトを離れるまでの間を1単位としてカウントしますので、緑色の線で囲まれた範囲が1セッションとカウントされます。
この場合、サイトを閲覧している人は太郎さんのみなので、ユーザー数は1です。
太郎さんは1セッション中に数ページを閲覧しているため、直帰数は0となります。
【事例2】太郎さんが、朝・夕の二度サイトに来訪した場合。
例えば、朝と夕方に分けて、太郎さんがサイトに複数回来訪した場合は、どのようにカウントされるのでしょうか。
事例1のように、太郎さんが閲覧したページは5ページビューですが、流入から離脱の流れが合計2回あるので、セッション数は2とカウントされます。
太郎さんが同じブラウザで流入した場合には、同じユーザーからのアクセスであるということが、ブラウザに保存されたCookie情報から判定できますので、ユーザーは1とカウントされます。
この場合も太郎さんはそれぞれのセッションで、数ページずつ閲覧しているので直帰数は0となります。
もしも、太郎さんがパソコンとスマートフォンなど他のデバイスを利用した場合は、Cookie情報による判定ができないため、別ユーザーとして判定されます。
ユーザーの判定には同じデバイスの同じブラウザを使った訪問である、ということがポイントとなります。
【事例3】太郎さんと花子さんがサイトにアクセスした場合。
太郎さんだけではなく、花子さんからもアクセスがあった場合は、どうでしょうか。
事例2でも少し触れましたが、太郎さんと花子さんのデバイスとブラウザは別のものになりますので、ユーザー数は2とカウントされます。
ただし、もし花子さんが太郎さんと家族で、太郎さんのデバイスとブラウザを利用してサイトに来訪した場合、Google アナリティクスではCookie情報から同一人物として判断するため、ユーザー数は1とカウントされます。
実際に閲覧しているユーザーの人数ではない、ということの理由はここにありますので注意してください。
【事例4】太郎さんが複数回来訪し、花子さんが一度来訪した場合。
図のように、太郎さんの二度目のセッションで、太郎さんはページ③を閲覧後そのままサイトから離脱するような行動をした場合、直帰がカウントされます。
全体のページビュー数は5で、セッション数は3、ユーザーは太郎さんと花子さんの2ユーザーで、直帰は1とカウントされます。
図解で理解!「指標をコンビニエンスストア来店時の行動に置き換えてみる」
ウェブサイトの指標はそのままではイメージしづらい部分があるかもしれません。
すべての事象を網羅できるわけではありませんが、少し理解を簡単にするために、ウェブサイトへのアクセスを、コンビニエンスストア来店に置き換えてみましょう。
コンビニエンスストアに1人のお客さんが入店します。
「お店に入る」はウェブサイトでいうところの「セッション(訪問)」にあたります。
この「セッション(訪問)」は、基本的にはユーザーが店の外に出るまでを1回としてカウントします。
上図の場合、お客さんは「1人」ですので、ウェブサイトでいうところのユーザーは1人です。
入ってきた時点で、店内を一度見ますので、これを1ページビューとしてカウントします。
それぞれのデータ値の発生を表に起こしてみると下表のようになります。
【データ値の発生数】
ページビュー |
セッション |
ユーザー |
直帰率 |
目標 |
1 |
1 |
1 |
0 |
0 |
もしも、このお客さんが、どの商品棚も見ることなく、店外に出てしまったとしましょう。
一度は入店したものの、そのまま何もせずに帰ってしまった、これがウェブサイトでいうところの「直帰」にあたります。
直帰率は直帰数を全体セッションから割り返した率ですので、各指標は下表のようになります。
【データ値の発生数】
ページビュー |
セッション |
ユーザー |
直帰率 |
目標 |
1 |
1 |
1 |
100% |
0 |
次に、このお客さんが直帰せずに、各コーナーの棚を巡り、最終的にレジカウンターでお会計をしたとしましょう。
この場合、1つひとつの「商品棚」の数をカウントしてみると
- 「お弁当棚」を1回
- 「パンの棚」を1回
- 「ドリンク棚」を1回
見たことになります。
「お店に入って店内を見回した」ことと、「会計をするためにレジカウンターに立ち寄った」こともそれぞれ1回としてカウントすると、このお客さんがコンビニエンスストアの中できちんと何かを見た回数は、「5」となります。
棚の数やきちんと何かを見た、という回数を「ページを見た」という回数に置き換えてみると、「5ページビュー」とカウントされます。
【データ値の発生数】
ページビュー |
セッション |
ユーザー |
直帰率 |
目標 |
5 |
1 |
1 |
0% |
1 |
ここで注目すべきは、ページビュー数は増えているのに、セッションは増えていないところです。
このケースでは、ページビューは、一度の訪問の中だけで行われているため、セッションは増えないのです。
もし、このお客さんが、一度店外に出て、再び来店した場合には、セッションは2となります。
このお客さんによるセッション数の増加タイミングは、サイトから一度離れているということがポイントになります。
ここで、コンビニエンスストアを運営する目的を考えてみましょう。
コンビニエンスストアを運営する最大の目的は、利益を出すことです。
存続するためには、利益を出す必要があります。
コンビニエンスストアは、自店で扱っている商品を購入してもらうことや、提供しているサービスをお客様に利用してもらうことで利益を得て、存続することができます。
この図の中では、レジカウンターで購入してもらうことが、コンビニエンスストアを運営する上での大きな目的となります。
レジカウンターへの到達数をカウントする、というような目標設定をあらかじめ実施し、それを定点観測することによって日ごと評価をすることができるようになります。
今回の例では購入が最終的な目標となりましたが、もし、手作りのこだわりパンの販売に注力しているということであれば、最終目標の手前の目標として、「パン棚への到達」を目標として登録しておくのがよいでしょう。
ここでは、一人のユーザー行動に特化して説明しましたが、日常生活に置き換えてみるとイメージを膨らませることができるのではないでしょうか。
まだまだある、基本指標
基本指標はほかにも
- 新規ユーザー数
- 閲覧開始数
- 離脱数
- クリック回数
などというものもありますが、まずは③で 挙げたものの推移や動向を観測してみてください。
まずは、基本指標から定点観測を始めるのが分析の第一歩となります。みなさんもデータを見るところから始めてみてはいかがでしょうか。