BtoB企業に流行のアカウントベースドマーケティング(ABM)とは?

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最近注目を集めている「アカウントベースドマーケティング(ABM)」という新しいマーケティング手法をご存知でしょうか。

さまざまな企業が情報を発信しており、MAツール「Marketo(マルケト)」がABM用のモジュールを発表するなどツールに関しても盛り上がってきています。

今回は、アカウントベースドマーケティングとは何か、注目されている背景の紹介、どのような企業に適した手法なのか、進め方と関連サービスについてご紹介します。

アカウントベースドマーケティング(ABM)とは?

アカウントベースドマーケティング(ABM:Account Based Marketing)とは、ターゲットとなるアカウント(企業)を明確にして戦略的なアプローチを行うマーケティング手法です。

BtoBマーケティングの手法の1つで、外資系企業を中心に取り組みが進んでいます。

BtoB商材は導入までのプロセスにおいて、複数人が関わる特徴を持っています。

例えば、情報収集の担当者、予算を管理している決裁者、商品やサービスを実際に使う利用者など、複数の登場人物が導入に関与します。

よって、1つの企業をターゲットとしたとしても複数の登場人物に対してそれぞれ最適なコミュニケーションをしていく必要があります。

こういった観点から、アカウントベースドマーケティングの考え方は、近年注目を集めている「One to Oneマーケティング」の大きな流れの中の1つであるといえます。

ただ、アカウントベースドマーケティングを理解するうえで重要なのが、他のマーケティング手法における「ターゲティング」の考え方とは全く異なるという点です。

マスマーケティングはターゲットが広く、商品やサービスの認知といった訴求を主に行います。

BtoBで注目されているWebマーケティングの手法の1つであるインバウンドマーケティング、特にコンテンツを用いた手法では、検索キーワードのよるセグメントでターゲットを絞ることができます。

インバウンドマーケティングは、細かなターゲティングができているといっても、アカウントベースドマーケティングのように1つの企業(個社)にターゲットを絞っているわけではありません。

アカウントベースドマーケティングは、他のマーケティング手法のようにマーケットの中からターゲットを絞るのではなく、対象となるアカウント(企業)を見定めて行うものです。

これは、フィリップ・コトラーが提唱し多くのマーケティング手法の前提となっている「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」をもとに市場を開拓するSTPマーケティング(STP分析)の考え方とは発想が異なります。

また、アカウントベースドマーケティングでアカウントに対して行うアプローチには、プル・プッシュなどの区別はありません。リアルの営業によるアプローチ、Webでのアプローチを組み合わせて、適切な施策を行います。

なぜ今アカウントベースドマーケティングが注目されているのか

特定のアカウントに対して、営業とマーケティングの2つの側面から戦略的にアプローチするものがアカウントベースドマーケティングであると言ってしまえば、当たり前だと思う人も多いかもしれません。

しかし、なぜ今アカウントベースドマーケティングが注目されているのでしょうか。

・マーケティングオートメーション(MA)流行によるナーチャリングへの意識の高まり

アカウントベースドマーケティングが注目されている背景としては、マーケティングオートメーション(MA)の流行によってリードのナーチャリングを行う意識が高まっていることが挙げられます。

かつては全てのリードに対して共通のメルマガを配信するといった手法しかありませんでしたので、ナーチャリングに対するマーケターの期待値もさほど高いものではありませんでした。

しかし、MAの登場によってリード毎の行動に対してスコアリングを行い、それぞれに合わせたタイミングでの個別のアプローチが可能となりました。

要するに、マーケターにとってより深いコミュニケーション戦略実行を可能とするプラットフォームが用意されたといえます。

そこから、特定企業からの受注を獲得するためにMAツールによるOne to Oneマーケティングを活用することが出来るのでは?いうアイデアにつながりました。

また、最近ではMA上で個人の行動履歴を企業単位で見ることができるダッシュボード作成も可能となっており、ABMを後押ししています。

多くのマーケターがOne to One マーケティングおよびナーチャリングに大きな期待と関心を持つようになったことが、アカウントベースドマーケティングが注目を集めている理由の1つであると考えられます。

・MA以外にもSFAや名刺管理などのテクノロジーの発展がABMを後押し

MAの周辺テクノロジー、特にSFAや名刺管理ツールの発展により、さまざまな営業データの活用が容易になりました。

名刺管理ツールはそもそも、「会社単位で誰が誰と名刺を交換したのか」を管理するという点、つまり会社単位でコンタクトポイントを見つけ、活用していくという意味でアカウントベースドマーケティングの考え方に似ています。

また、営業支援システム(SFA:Sales Force Automation)を活用することで、営業活動のログが残り、マーケティング部門やインサイドセールス部門との連携が容易になりました。

例えばSFDC(セールスフォース・ドットコム)では「取引先」、「取引先責任者」、「リード」といった単位で顧客の状態を整理できますが、MAで個人単位でのナーチャリングからアクティブな活動になった見込み顧客がいた場合、この企業とは既に取引があるのか?誰がキーマンなのか?といったような情報をSFDC上のデータと照らし合わせてアタックすることが可能となりました。

見込み顧客を個人として点で捉えるのではなく、所属する企業にどうアプローチするのかを面で捉えることができるようになったのです。

MAだけでなく、周辺のテクノロジーの発展もアカウントベースドマーケティング実施を後押ししていると思います。

アカウントベースドマーケティング(ABM)の活用をオススメできる企業

アカウントベースドマーケティングはテクノロジーの進歩によって可能となった新しいマーケティング手法ですが、どのような企業にとっても有効となり得る施策ではありません。

アカウントベースドマーケティングの活用をオススメできる企業は次の通りです。

・1社あたりの単価が高い場合

アカウントベースドマーケティングは、1社あたりの売上単価が高い企業にとって相性が良いと言えます。

ただ、単価が安い場合でも1回あたりの単価ではなく、1社あたりのライフタイムバリュー(LTV)で考えると良いでしょう。ライフタイムバリューは1顧客あたりの取引期間における合計取引金額のことです。

単価が100万円であっても、年間500万円で5年間の取引継続があったとするとLTVは3,000万円となります。

LTVで考えれば、アカウントベースドマーケティングが有効な施策となる企業は少なくないのではないでしょうか。

また、アップセル・クロスセルの余地が大きい企業の場合もアカウントベースドマーケティングが有効です。

顧客との継続的なコミュニケーションが必要となる場合には、ターゲットに対して継続的かつ積極的なアプローチが求められます。

そのような場合、もちろん営業担当者がヒアリングを行うなどコミュニケーションをとることも重要ですが、マーケティング部門も連携して情報発信やキャンペーンの実施を行うことで、成約率の向上が期待できます。

アカウントベースドマーケティングは、特定の企業に対してアプローチを行うため、単価またはLTVが安いと打てる施策が限定されてしまい、有効に機能しません。

顧客の数が売上の大きな変数となる、マス寄りのコミュニケーションが有効である会社の場合は、アカウントベースドマーケティングが有効な施策でない場合が多いでしょう。

・ターゲットが限定されている場合

例えば、10,000人以上の大手企業のみを対象としているなど、ターゲットとなる企業が限定されているケースがあります。さらに、ターゲットとなる企業のうち半分以上に営業担当者が付いている場合もあります。

そのようなケースでは、マス広告やインバウンドマーケティングといった施策が最適であるとは言えません。

既にターゲット企業が明確となっていますので、営業と協力しながら特定の企業に深耕するためのマーケティングおよびサポートを行う方が売上UPに繋がるでしょう。

・営業アプローチが個社で大きく変わる場合

「会社の色によって提案する切り口が大きく異なる」など、個別のカスタマイズ幅が大きい場合もアカウントベースドマーケティングがマッチします。

広告やメール配信において、ある程度のパターン分けを自動で網羅することも可能ですが、やはり限界があります。また、パターン化を意識するとカスタマイズの幅はどうしても狭くなってしまいます。

営業アプローチが個社で大きく異なる場合には、アカウントベースドマーケティングでそれぞれに最適なアプローチを行うことが有効です。

アカウントベースドマーケティング(ABM)の進め方と関連サービス

アカウントベースドマーケティングは大きく「対象を決める」「対象にアプローチする」という2つのステップがあります。

それぞれのステップにおける関連サービスについて紹介します。

(1)対象アカウントの選定

アカウントベースドマーケティングを行うにあたり、まずは対象となるアカウント(企業)を選定する必要があります。

他のマーケティング手法と大きく異なるのは、どのマーケットを狙うのかという点を決めるのではなく、「どの企業を狙うのか」を決めるという点です。

まず始めに、企業の規模にもよりますが、300社~500社ぐらいのリスト化を行うなど対象となりうるアカウントをピックアップします。

過去に取引のあったアカウントや、すでに作成している営業リストなど、元となるデータはさまざまです。

下の図にあるように、ポテンシャルが大きい企業(優良顧客となりうる企業)かつ、コンタクト可能な企業から狙っていくのが良いと思います。

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リスト化できる企業が少ない場合には、会員制メディアや企業に関するDBを持っている会社が提供している、優良顧客や似た属性の企業をピックアップするサービスを利用すると良いでしょう。

(完全に個社名に落とし込んだリストを作成する必要があるため、抽象化されたリサーチ結果などは利用できません。)

(2)コンタクトポイントへのアプローチ(創出)

アカウントベースドマーケティングでの顧客へのアプローチは、マーケティング部門と営業部門の連携が重要です。

そのためにはそれぞれの施策によりどのような反響が出ているかをログとして残し、スコアリングを行う必要があります。

その際に使うツールがマーケティングオートメーション(MA)と営業支援システム(SFA)です。

対象としているアカウントの状況は刻一刻と変化します。

MAの良い所は、Web施策のアクティビティログを追える点です。

また、SFAによりリアルの営業に関してもログを残すことができます。

ターゲットユーザーのアクティビティをMAにより営業部門に伝える、営業活動をSFAによりマーケティング部門に伝えるということが、アカウントベースドマーケティングを成功させる鍵となります。

アプローチの手段はさまざまで、Web広告・メールマーケティング・キャンペーン実施・懇親会などさまざまな方法が利用できます。

代表的な手法としては、LPOツールによるWEBサイトのパーソナライズ化、MAと連携したリターゲティング広告などがあります。

このような施策はMAやSFA、CRMなどの元となるデータの一元管理やクレンジングが前提となりますので、データ整備がはじめの一歩となるケースも多いでしょう。

また、複数の施策を組み合わせて実施するのも1つの方法です。

例えば、A社用のURLでLPを作成。メール配信、さらに営業からの声がけをして、そのページを見てもらう。

そのうえでリターゲティング広告を実施し、キャンペーン情報の配信を行っていくといった方法です。

企業単位でパーソナライズ化したキャンペーン展開が可能です。

また、「この会社のこの人が、こういうアプローチ方法が好きそうだ」という考えのもと施策を行っても良いでしょう。

社交的なタイプでグルメな方であれば、ランチイベントを軸に企画を考えるのもありかもしれません。

ターゲットが明確になればなるほど、アイデアは具体的になるかと思います。

まだ、アカウントのコンタクトポイントが無い場合にはコンタクトポイントの創出が必要となります。

対象アカウントのコンタクトポイントを獲得することを目的として、一般的なリードジェネレーションの手法をためしてみるのも良いでしょう。

リードジェネレーションの手法については、過去にウェブ部でも紹介しているので参考にしてください。

5つのリードジェネレーション手法と成果を出すための選び方

まとめ

営業活動とマーケティング活動は、本来は密接に関係する部分ですが、それぞれが独立して成長してしまっている企業は少なくないのではないでしょうか。

それらを本来の形に戻すのがアカウントベースドマーケティングであると言えます。

その際には、マーケッターには営業のセンスが必要であり、営業経験者がマーケティングの担当となりMAやSFAを活用してアカウントベースドマーケティングを実施するというのはおすすめの方法です。

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