DSPを5分で完璧に理解!その仕組みと手法

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DSPとは、「Demand Side Platform(デマンド サイド プラットフォーム)」の略語であり、インターネット広告において広告主の効果の最大化を目的としたツールである。広告主はDSPを用いて、配信したいターゲット、予算などを設定し、バナーを入稿すれば、あとはDSPが自動で最適な広告配信を行ってくれる。今回はそのDSPの仕組みについて案内しようと思う。

DSPとは

DSPは前述のとおり、インターネット広告において広告主の効果の最大化を目的としたツールである。設定が必要ではあるものの、アドネットワークにて手動で広告運用するよりは運用の手間は少なくなる。しかしDSPを使用する場合には、広告費用へプラスしてDSP利用料も掛かってくるため注意が必要だ。
手動で運用した場合とDSPを使用した場合、どちらの方が広告効果が高いのかを検証し、DSP利用料をプラスしても、十分な効果が期待できそうであればDSPを導入してみると良いだろう。

 また、単純な広告枠単位での配信との大きな違いとして、ターゲット設定により「枠」単位ではなく興味・関心を持っているユーザー「人」単位での広告配信ができることである。広告が「枠から人へ」変化した。と、よく言われている。性別や年齢もしくは趣味趣向の異なる様々な属性のユーザーへ効果的にかつ、なるべく手間を掛けずに広告を配信したいという広告主とは相性が良いといえるだろう。反面、ユーザーの属性がある程度絞られる場合には、既にリーチしたい層へ広告を配信できている可能性が高いため、DSPを使用してもそれほど高い効果が得られないかもしれない。

 ⇒これまでは広告主が媒体の広告枠を購入して広告を配信するというのが主流であったが、DSPの導入により広告主主体で、広告を配信したいターゲットを自在に決めることができるようになった。

また、各DSPによりターゲット選定のアルゴリズムも異なっていたり、DMPとの連携でより詳細なターゲティングを行えたりと広告配信の幅を劇的に増やすことができる。様々なターゲティングにより広告効果をさらに高めたいという広告主に向いた手法と言えるだろう。

DSPの仕組み

 まずは広告配信の準備段階として、広告主はDSPへ広告を配信したいターゲット、予算の設定などを行って、バナーの入稿を行う。広告の配信はDSPが一括で行ってくれるため、広告主の行う作業はいたってシンプルである。

実際に広告が配信される際には、SSP(Supply Side Platform)からのリクエストに応じて、どのような広告をいくらで入札するかを決定する。入札の言葉通り、オークション制となるため、最も高い金額で入札したDSPが広告を配信する権利を得る。
※正確には多くのDSPではセカンドプライスオークション制度を導入しており、実際に必要とされる入札額は、2番目の額+1円のケースが多い。

また、サイトへ往訪したユーザが広告を配信したいターゲットかどうかについては、DSPのCookie(サイト閲覧履歴、閲覧日時、リファラー情報、キーワードなど)から取得して判別する。そのため、事前にユーザがWebを回遊する中でDSPのCookieに接触しており、かつDSPのCookieに様々な情報を保持している状態であるほど、ターゲティングの精密性が上がる。

次に実際の広告リクエストから入札までの図を記載する。だいたい0.1秒くらいの時間で記載の処理が行われている。

DSP仕組み1

DSPの広告配信活用方法

前述の通りDSPを用いることで、対象としたユーザーに対して、広告を配信することができる。しかし、そのユーザーの属性情報はあくまでWebで接触したデータのみとなる。

DSP仕組み2

Eコマースを行っている企業など自社で保持している会員情報も使用してターゲティングしたいと考えた場合、そのデータをDSPへ連動させる必要が出てくる。そこで有効な方法として、DMP(プライベートDMP)を使用する方法が挙げられる。

 広告主が保持している会員情報や購買履歴といったデータをプライベートDMP上へ格納し、セグメントデータ(会員、20代女性、過去1か月以内に購入履歴あり…など)を作成する。そうして作成したセグメントデータをDSPへ連携することで、DSPから広告を配信する際にそのセグメントデータを基にそのユーザーが興味・関心を持つであろう広告を配信することができるようになる。
これによりWebでの接触データだけでなく、会員情報などより詳細な情報に基づいたターゲティングが可能となる。

また、ユーザーがターゲットかどうかについては、DSPのCookieから取得するためDSPとプライベートDMPのCookieがCookie Syncやピギーバック方式によって同期されている必要がある。
(※Cookie Sync、ピギーバックについての詳細は別記事「ターゲティング広告の全手法と最も効果的な活用方法」参照のこと)

DSP仕組み3

これまでDSPは内部のアルゴリズムを工夫してターゲティングに、他のDSPとの違いを見出すことで、差別化を図ってきた。しかし、DMPの登場によりデータドリブンマーケティングがより明確になった現在、内部のアルゴリズムのみではなく、どれだけ他のデータと連携してより効果のあるターゲティングができるのか、という点へ発展していると言える。
今後DSPを選定するには、DSPそのものはもちろん、どれだけデータを連携して有効な手を打てるのか、という点にも注目して選んでいただくことをお勧めする。

DSPの機能・特徴1:リターゲティング広告の配信

DSPの機能の1つとしてリターゲティング機能というものがある。これはサイトを訪れたユーザに対して、そのサイトで見た商品などの広告を配信する方法となり、一度見た商品なのでユーザの関心は高いことが多く、効果的な訴求ができる。

しかし、同じ広告を何度も表示していると逆効果になってしまうケースも多々ある。

たとえば、ECサイトでとある商品を見た後、ずっと同じ広告が表示された経験のある方も少なくないだろう。せっかく広告を表示したのに逆効果になってしまう、そんなデメリットを避けるため、DSPの機能の1つとしてフリークエンシーコントロールがある。

これは、ある広告が一定期間に何度表示されたかを計測しておくことによって、一定回数表示したら、その日、あるいは数日は、同じ広告を同じユーザに表示しないように制御することのできる仕組みである。

ちなみに、このフリークエンシーコントロールはDSPだけではなく、アドネットワークの機能として用意されていることもある。しかし、アドネットワーク側でのコントロールだと、それぞれのアドネットワークごとの制御になってしまうが、DSP側の制御であれば複数のアドネットワークを横断して制御することができるので、ユーザに対してより緻密なコントロールを行うことができる。

DSPの機能・特徴2:オーディエンスを拡張して広告配信ができる

サイトに訪問したユーザに対して、積極的に関連する広告を表示するリターゲティング機能は、広告の効果が高い傾向があるが、そもそもサイトに訪問していないユーザは対象とならない。限られた範囲に広告を配信するのであればそれで問題ないが、もっとより多くのお客さんを呼びたいなどの場合には、どうしても対象数が限られるため、それ以上の効果が期待できない。

そこで登場するのがオーディエンス拡張だ。

これはサイトに訪問していなくても、サイトに訪問したユーザと類似した属性を持っているユーザをDSP上のデータから特定して、ターゲティング配信を行うという仕組みである。これによって、サイトを訪問していなユーザへも商品の広告を配信することができるようになり、新たな顧客の獲得につながる。

このオーディエンス拡張もDSPだけではなく、アドネットワークの機能として用意されていることもある。

しかし、フリークエンシ―コントロールと同様にアドネットワーク側の制御だとそれぞれのアドネットワーク毎になるため、DSPのオーディエンス拡張を利用した方が、複数のアドネットワークを横断した全体的なオーディエンス拡張の最適化を行うことができる。

代表的なツール(2022年6月更新)

KANADE DSP

KANADE DSP

デクワス株式会社が提供するツールです。
ブランド認知からCVの促進まで一気通貫でアプローチを行うことができます。
一番の特徴である「パーソナライズリターゲティング」のメニューではwebサイト上の詳細な行動履歴を基に、ユーザごとに興味がありそうな商品を複数組み合わせる「レコメンドバナー」での配信が可能です。
※詳しくは「注目のダイナミックリターゲティング広告「KANADE DSP」とは」にて解説しています

Logicad 

logicad
ソネット・メディア・ネットワークス株式会社が提供するツールです。
ソニーグループの優れた技術を基に開発された継続率9割(FY18実績)の純国産DSPです。独自のアルゴリズムより広告効果の最適化を実現します。
Logicadダイナミッククリエイティブはユーザ行動履歴と広告主商品データをもとに、個人の興味関心に合わせたレコメンドクリエイティブを自動的に生成し、表示することが可能です。

※詳しくは「継続率90%のソニーグループDSP「Logicad」の特徴」にて解説しています。

Red

株式会社フリークアウトが提供するツールです。
国内最大級の月間 8,500 億インプレッションを超える広告枠の在庫を持っており、モバイル・PC・コネクテッドTVの全デバイスに対応しています。
また、フリークアウト独自のターゲティング技術を用いての広告配信が可能です。

UNIVERSE Ads

microads
株式会社マイクロアドが提供するツールです。
AIによる独自アルゴリズムによって、適正な価格での入札と広告配信が可能です。
また、同社で提供している業界特化型のマーケティングデータプラットフォームとの接続ができるので、各業種の消費行動に即したターゲティングができます。

まとめ

DSPによって「枠から人へ」の広告配信が可能になってからだいぶ経つが、それにともなってDSP自体の広告表示ロジックの複雑化、DMPなどの第三者データとの連携、リターゲティングやオーディエンス拡張による広告表示対象の選定など、様々な要素が追加されている。

本稿では、今後もDSPの変化に応じて新しい機能などについての解説をしていくので、DSPを使用する際の一助にしていただきたい。

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